食べられる夢を見た

データ分析とデザインのあいだ

メタ視点と楽屋ノリ

いま話題の、"カメラを止めるな"観てきました。流行に乗る、とか本来結構悔しいタイプなのですが、敬愛する伊集院光大先生が勧めていたとのことで、これは避けては通れない。

ネタバレ厳禁を皆さん呪文のように唱えてらっしゃるので気を付けますが、なんか観ててクリストファーノーランのメメントを想い出してました。とても面白かったです。

 

前にも名前出しましたが"波よ聞いてくれ"って漫画が大好きで。いつも"波よ"だったか"波を"だったか分からなくなるんですが。笑

ざっくりあらすじとしては、破天荒を地で行く女性主人公が深夜ラジオのパーソナリティを務めることになり、番組を巡っていろんな事件に巻き込まれる(事件を巻き起こす?)話です。

その中で主人公コダミナレが楽屋ノリが好き、という一節があります。今まであまり意識したことなかったですが、楽屋ノリ、自分も好きかもなと。

 

本来的に深夜ラジオはテレビの裏話やらスタッフいじりやらで、楽屋ノリがふんだんに盛り込まれています。この本音感がラジオの魅力の一つですよね。ましてや伊集院光さんや神田松之丞さんはそもそも後ろ盾がないと公言して、かなりいろんな方面にギリギリの発言が飛び出すのがたまらないです。

 

落語の世界でも高座とは違う裏話がまくらで飛び出すことがよくあります。いじり過ぎて他人の高座に乗り込んでくる師匠の流れ、だいすきです。

この前の渋谷らくごでも、時間を間違えて会場入りした立川志ら乃師匠がトップバッター立川こしら師匠の高座に乗り込み、さらになぜか客席横から三遊亭遊雀師匠がふらっと現れ、何をするでもなく端に座ってたお客さんと談笑して戻っていったのは最高でした。文章にするとより一層なにが起きたかわからねぇ。正直その場にいても何が何だかわからなかったですが。その後安定して圧倒的な笑いを稼ぐ桂三四郎さんに続けて出てきた古今亭文菊師匠がしっとりと、時には静かに笑いを取りながら古典落語の世界を作り上げたのはもはや芸術で、本当に驚きました。井戸の茶碗、だいすき。

 

すみません落語の話から気を取り直して…

 

楽屋ノリに加えて、落語では第四の壁を破るようなメタ視点での発言も度々登場します。これがうまいのが春風亭一之輔師匠とかでしょうか。柳家喬太郎師匠とかもですかね。

僕がこのメタ視点に魅力を感じるのは、観客ではなく登場人物になったような感覚があるからだと思っています。ある種、傍観者から当事者として巻き込まれている感覚です。その点では雷門小助六師匠の死神が最高だったんですが…これ以上落語の話してもアレなので割愛します。

ただ、この参加感がテレビには出しにくいラジオとか落語ならではの魅力なのではと思っています。ワークショップを企画するときに意識しなくてはいけないポイントですね。

 

当事者になることが、真剣になるコツであり、同時に楽しむコツでもあるんじゃないかなというお話でした。